「八日目の蝉」筆者:角田 光代

八日目の蝉

八日目の蝉

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか−−理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。家族という枠組みの意味を探る、著者初めての長篇サスペンス。


事件を起こしたのだから、裁かれるのは当然なのだけど、このまま捕まらないでいてくれたら・・なんて、ふと思ってしまうほど、子供と一緒にいたいと願う、母親の気持ちが伝わってくる作品でした。
罪を犯した女性、彼女のせいでギクシャクした被害者家族達。
逃亡生活の中でも、子供の笑顔に勇気付けられ、守り通そうとする犯人に、つい、同情してしまいそうになりました。
誘拐された子供が大きくなってからの話を読んだ時、やはりあれは犯罪だったのだ!と思うのだけど、そう思い切れない何かが、心のどこかであり、なんかジレンマを感じました。
面白い!という言葉だけでは言い現せないほど、凄い作品でした。